
楠木先生の最近著です。
楠木先生は 白い表紙が好きなんでしょうかね? (笑)

あるいはこれも楠木先生のブランディング戦術でしょうか?
誰も未来は分からない。今、もてはやされている最新のテクノロジー、企業、経営者も
意外なことに、数年後には・・・ ってなこともよくある話。
そう分かってても、今ブームだとついついそれに乗っかっちゃうのが人間の性。
でも「よくある話」だとなぜ分かるの? それは過去、そういうことがよくあったって
ことをみんなが何となく覚えているから。でも何となく程度だけ。
それってもったいないんじゃない。
ということで、過去に大いにもてはやしていた雑誌や新聞の記事を持ち出して、
なぜそういう言説が、その時代に、その場所で、まかり通ったのかを分析してみよう
というのが本書のねらいかな。
最も興味深かったのが、「人口が減るってことが日本の最大の問題点」という考え方への
楠木先生の見立てでした。
日清、日露戦争、その後の中国大陸、東南アジア侵略。この大きな要因のひとつが
急激な人口増でした。増える人口。しかし国土は狭い。それを養うには新天地が必要だ。
『移民』というと外国人労働力を日本に受け入れることを連想しますが、当時『移民』と
いえば、食い扶持を求めて海外へ出ていく私たち日本人のことでした。日本語では同じ
移民でも、英語には、immigration と emigration 2つは明確に別の言葉になってます
からね。
この移民政策は、太平洋戦争に負け、成人男性が多数戦死したことによって、一時的に
途切れましたが、その後のベビーブーム到来による住宅難、交通渋滞、環境破壊、公害
などさまざまな社会問題の解決策のひとつとして1970年代まで続いてたんです。
つまりこの時期まで「人口増こそ諸悪の根源」だったという指摘にはちょっとショックを
受けました。
そもそも狭い国土に少ない平地の日本にとって最適な人口は何人なのか?
いくらなんでも1億とは多すぎじゃない。冷静に考えれば、もうちょっと減ったくらいが
快適では。 そう考えると、人口減って諸悪の根源?
結局、人口は急激に増えても、減っても問題ということでしょ。
でも人口って、国家的な規模の戦争やパンデミックなどが発生しない限り、急激には増減
しません。 おまけに日本の人口が減るってことは、ずっと前から分かってたこと。
問題は、それが分かっていながら、ギリギリまで放置してきたこと。
だから「減る、減る」と騒ぐんじゃなく、
「もう減り出しているからちょっと遅いけど、今からでもどうするかを
前向きに考えよう」という姿勢が大事だってことですね。
もうひとつ。
技術っていうのは、それ単独では成立しない。その技術が受け入れられるインフラが
整わなければ、普及しない。
自分の文脈に落とし込んで考えるっていうのは、時代のトレンドも戦略も風土改革も
すべて同じですね