磯輪日記

世界の段ボールビトを幸せに! 自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける 世界一社風のいい会社を目指しています。

『長く高い壁』


 

次に読むべき手持ちの本が無くなって、二度読みしたと一昨日書いたのがこの本です・・・ 汗

 

浅田次郎さんの最高傑作だと思う『壬生義士伝』と同じように、いろいろな人物のモノ

ローグを交えて、当時従軍していた人気作家が日中戦争下での兵士の集団死亡事件の

真実に迫るという戦時推理小説でした。

 

舞台となったのは満州に接する海抜1,300mにある万里の長城 張飛嶺。垂直の長くて高い

壁が聳え立つ山頂にある監視廠。 実在の場所かと思って調べたら、架空の場所でしたが、

浅田次郎さんがモデルとした場所がありました。

 

司馬台長城。すごいところですね。

 

 

この本で最も印象に残ったのは、大日本帝国陸軍の指揮命令の仕組みでした。

 

 「軍命というものは甚だ一方的で、訊き返してはなりません。」

   質問しちゃいけないってことですね。

 

 「すべての命令は上から下へと、直線で気に下達される。

  (中略)

  いわばタテばかりでヨコのない組織だった。」

   お互い隣同士にいても、お隣さんと相談することは許されず、

   たとえ上司が何百キロ離れたところにいたとしても、そこに

   お伺いを立てて、その返事が戻ってくるまでは、作戦の変更は

   ありえないんですね。

 

 「上官の命令は天皇陛下の命令として、厳守されなければならないのである。

  仮に上官が軍法に照らして犯罪者であったとしても、任を解かれざる

  限りはその命令に服さねばならない。」

   上司の指示命令は絶対服従。

    

これらはすべて、戦後75年経った今でも、日本の組織風土として残っているんですね・・・

 

それ以外にもうひとつ。

 

 「右も左もわからぬ兵隊に気合を入れるのとは、わけがちがうだろう」

 「下士官が殴られたのでは、兵隊たちの手前、面目がない」

 「兵隊を殴っても下士官を殴ってはならないという、軍隊の不文律である。」

   ふたつ、誤解していました。

   軍隊では鉄拳制裁はどの階層にも存在していると思っていたし、

   職業軍人は将校以上と思っていました。

 

もしこの時代に生まれていたら・・・