磯輪日記

世界の段ボールビトを幸せに! 自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける 世界一社風のいい会社を目指しています。

あえてお言葉に甘えて



1か月前、あるお客様から、

 「最近私が読んだ非常に面白い本です。
  磯輪社長がまだお読みになっていないのなら
  是非プレゼントさせて下さい」

とメールを頂戴しました。

 「東日本の震災で数百年続いた醤油屋さんが被災し、
  再生するまでの物語なのですが、理念や従業員、
  家族等を大切にする為に再生する・・・」

そんなところに感動したそうで、ISOWAの経営の参考になるのではと思って
くださったのでしょう。

本のタイトルは『奇跡の醤(きせきのひしお)』 (竹内早希子)

    

ネットでも高く評価されているので、即購入しようと思ったんですが、私も
このお客さんもある種『変人』なので、ここは甘えた方が喜んでもらえるんじゃ
ないかと勝手に推測して、

 「お言葉に甘えます。 
  ぜひ贈ってください!
  楽しみにしています! 
  ありがとうございます!!!」

とお返事しました。


ほどなくして、わが社の組立のYくんが「磯輪社長に」とお客様から預かり
ましたと、届けてくれました。



真っ先に感心したのは、本のサイズにぴったりの段ボールで梱包されていた
ことです。この本を私に届けるために、わざわざ自作してくれた段ボールに
間違いありません。

封を開けると、本と一緒に、黒部の流木から作ったしおりも二つ入っていま
した。




早速読んでみました。

陸前高田にあった創業200年のお醤油屋メーカー 八木澤商店は、東日本
大震災ですべてを失いました。

醤油の原料は大豆と小麦ですが、本当の主役は麹菌、乳酸菌、酵母という
微生物で、これは麹をつくる麹室やもろみを発酵させるつくり蔵の天井や
柱、土壁、そしてそこに安置されている杉桶などに棲みついて、変化して
いくそうで、世界に二つとない代物であり、これをゼロからつくり直す
なんてことはできない。

それが津波ですべて流された。

それから20日後、八木澤商店の女子社員が津波で流されたお姉さんを
探して浜辺を歩いていて、偶然見つけたのが

        

八木澤商店の経営理念でした。工場から7㎞も離れたところでの発見でした。

 「必ず復活させてみせる!」

という不屈の闘志から始まった奇跡の復活劇。


そもそももろみは門外不出の秘伝の代物。
それが震災の1か月前、県の技術センターで長年 地元の伝統ある名品 八木澤
商店の醤油の研究をしていた職員が、八木澤さんのもろみの微生物を研究させて
もらえないかとお願いして、分けてもらったもろみがありました。

しかしこのセンターも建物の中を津波が突き抜けたため、もろみもあきらめて
いました。地震から1か月経ったころ、ダメもとで職員が様子を見に行った
ところ、流された機材に挟まれて、幸運にももろみを保管していた恒温器が
宙に浮いていているのが発見されました。これを元に伝統の味の復活を目指した
長い道のりが始まりました。


この本を読んで、私が感じたこと:

ひとつは、地域とのつながり。
ISOWAは、マーケットも世界に広がっていて、地元とのつながりという
意味では薄く、そもそも地元でも何をやっているかもあまり知られていない
存在であり、採用活動以外は特別『地元』を意識して経営をしていません。

それは私の経営が、まずはISOWAビトとその家族、大切なお客様、
そしてこの数年でやっとTASUKEビトが意識できるようになってきた
ところで、まだまだ地域まで視野に入れる余裕が無いからです。

これを無理に視野に入れようとしてもダメでしょう。それは本心じゃない
から。自然に『地元』が意識できるようになる日が来るといいな。


もうひとつは、醤油づくりも、原料、設備といった氷山の上だけでなく、
蔵の中に棲む目に見えない『菌』が醤油の風味に大きく関わっている
と知ったこと。これこそ『氷山の下』、つまり『風土』そのものですよね。


あえてお言葉に甘えさせてもらい、贈って頂いたこの本。
改めて自分の経営を見直すきっかけを与えてくださり、ありがとうござい
ました。


そうそう、それから一度、八木澤商店の醤油『奇跡の醤』試してみます。